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図書館と図書委員会

図書館と図書委員会

 約4万6千冊の蔵書を有する本校の図書館は、生徒が書籍を紐解く場であるだけでなく、さまざまな活動に用いられています。

 ライフネット生命創業者で立命館アジア太平洋大学学長の出口治明先生による特別授業が図書館で行われ(2018年2月16日)、「別冊NHK100分de名著 読書の学校 出口治明特別授業 西遊記」としてNHK出版より刊行されました。







 また、作家のあさのあつこ先生による特別授業も図書館で行われ(2018年10月26日)、「別冊NHK100分de名著 読書の学校 あさのあつこ特別授業 マクベス」としてNHK出版より刊行されました。







 図書館は、司書教諭の指導のもと生徒の図書委員会によって運営されており、図書委員は好きな本やおすすめの本を全校生徒に紹介する「緑蔭」という冊子を定期的に発行しています。
「緑蔭」最新号の編集後記を、ご参考までに紹介致します。

「緑蔭」編集後記
 今回の緑蔭はいかがでしたか。私たち図書委員は「自分の好きなものを他の誰かにも好きになってほしい」という思いでこの緑蔭を書いています。気になる本、読んでみたい本はありましたでしょうか。
 テレビやインターネット動画と比べてみると、本はとても静かですよね。音は出ないし、映像も流れない。本を開いて目に映るものといえば、黒いインクの並びだけ。
 けれど、その「ただのインクの並び」を目で辿りはじめた途端、私たちはたちまち凄まじい力で本の中へと引きずり込まれます。あたりに広がるのは、今までいた場所とはまるきり違う世界。主人公と自分が重なり合って、まるで別の人生を歩んでいるかのよう。はじめは静かにじっとしているように見えたインクの並びが、私たちを本の世界へと深く深く引き込んでやまない。一度でも本に熱中したことのある方には共感していただけるのではないでしょうか。
 本は自由です。後ろから読んだっていいし、好きなところだけ拾い読みしてもいい。よくわからないところは二回読めばいいし、前の内容を忘れたら少し戻ったって構わない。製作者側のペースで場面が移り変わる視聴覚メディアにはない特性だと思います。
 もちろん、テレビもインターネット動画もとても楽しいメディアですし、私も大好きです。そこにしかない良さがありますよね。でも、本にしかない良さだってあります。テレビも見るしスマホで動画も見るけれど、本を読むのも好き。そんな人がもっともっと多くてもいいと思うのです。
 本を読むひとときは喜びに満ちています。他人の綴ったものの中に自分を見つけた瞬間。近しい人の大切さに気づかされた瞬間。世界にはさまざまな人がいますし、本に出てくる人々も、自分と同じような生き方、考え方の人ばかりではありません。しかし自分とまったく違うように見える人にだって、必ずどこか自分と似ているところがあります。それぞれに違うものを持った私たちが、それでも同じように持っている何か、分かち合える何かがあるのだと気づく瞬間。それこそが本が与えてくれるものであり、人との距離を縮めづらい昨今の私たちが実は心の奥底から欲しているものではないでしょうか。
 「不要不急」や「無駄」というものは見かけよりずっと大切なものだと思います。数年前、当委員会に「緑蔭は紙の無駄ではないか」という意見が寄せられたことがあります。この緑蔭がクラスで配られて、家に帰ったら少しも読まずに捨ててしまうという人は確かにいるのかもしれません。でも私はそれでもいいと思っています。無駄なものを取り除いて「必要」なものだけを残した世界があるとしたら、それはきっと空虚で、何も存在しないのと同じです。少なくとも私は「無駄」は何かをやめる理由にはならないと思うのです。一部もしくは多くが無駄になってしまうとしても、図書室にある本と同じ、「紙」の状態で緑蔭をお届けすることに意味があります。この緑蔭が、たった一人でもいい、誰かにとって小さなきっかけになりますように。それが私たち図書委員会の願いです。
 忙しいとき、疲れているときほど、人は本の存在を忘れてしまいがちです。世の中全体が疲れている今だからこそ、一分でも、三十秒でもいいから、本を手に取って文字を追ってほしい。そしてこの緑蔭が皆さんのお役に立てることがあれば、こんなに嬉しいことはありません。たくさんの素敵な本とともに、図書室でお待ちしております。最後までお読みいただきありがとうございました。
(5年 大村咲由良)

2021.10.22.
 
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